キムチは世界でも珍しい野菜の発酵食品です。もともとは越冬用の保存食としていました。
みずみずしい野菜の食感、そして酸味と辛味の絶妙な調和。今も昔も韓国人の食生活に欠かせないキムチは、世界的にも類を見ない野菜を利用した発酵食品です。今では1年中、季節を問わず食べられていますが、もともとは農作物が採れない冬場の栄養不足を補うための保存食でした。
「キムチ」の語源については諸説ありますが、「沈菜(チムチェ)」という言葉が音声変化してキムチになったという説が有力視されています。「沈菜」とは、野菜を塩漬けしておくと水分が発生し、野菜自体が塩水の中に漬かる様子から生まれた言葉。そのチムチェが朝鮮時代にティムチェ、ディムチェと変化し、さらに時を経てチムチへ、そして現在のキムチになったと言われています。
キムチはの起源は?
キムチの起源を韓国と考えている方が多くおられますが、歴史的背景をひもといていくと、キムチの起源は日本と中国という話の信憑性が高いようです。
キムチの起源
ビタミンや無機質、食物繊維が豊富で、冬の重要な栄養補給源だったキムチ。野菜を長期保存するには乾燥という手段もありますが、本来の味と栄養分が損なわれがちです。そこで、生野菜を塩や酢に漬けて保存する方法が生まれたと言います。
こうした漬物類の歴史は古く、中国最古の詩集「詩経」(紀元前8~11世紀頃成立)には、「きゅうりで菹(チョ)を漬ける」という一節が登場。菹が漬物の一種であったことがうかがわれます。また、後漢末期の辞書「釈名」では、菹を「野菜を塩漬けにした乳酸発酵食品」と説明しており、キムチの原型とも言えるものがこの頃から食べられていたことが推測できます。
キムチは漢代(紀元前3~3世紀)に朝鮮半島北部の楽浪郡を通じて韓国にもたらされたと見られていますが、これを決定づける資料はなく、未だ明らかになっていません。
別の確度で漬物の歴史を見てみると、紀元前2世紀の中国の文献「詩経」に漬物の記録が残されています。詩経には「祖」と呼ばれる胡瓜の塩漬けのことが書かれておりそれがキムチの先祖であると言われいます。
紀元前3~2世紀のころは、戦乱の時代であり多くの人々が現在の朝鮮半島に逃げ、定住することとなりました。
逃げた中国人がキムチの先祖である「祖」を伝えたと考えられます。その後、様々な漬物が作られましたが、西暦1600年までは塩や醤油の漬物が主流だったようです。
このときはまだ、キムチというものはなかったのですが、なぜかというと、そこには豊臣秀吉の存在が大きく関わっているのです。
1592年に朝鮮半島に出征した豊臣秀吉は、武士の足が冷えないように唐辛子を靴の中に突っ込んで持ち込んだようです。なんと唐辛子をはじめて朝鮮半島に持ち込んだのは、豊臣秀吉だったのです。
つまり、唐辛子を使用するキムチは中国と日本の影響がなければ誕生しなかった食べ物なのです。
キムチの誕生
高麗時代の書物「高麗史」には祭祀のお供え物として「キムチ」が登場します。
また、詩文集「東国李相国集」にはキムチを意味する「沈菜(チムチェ)」の記述が見つかっています。チムチェの作り方は、塩漬けした野菜に、ニンニク、ショウガを入れて作ります。
その後、唐辛子が伝わり庶民の間で多く使われることとなります。唐辛子が伝わってから100年以上たった18世紀の農書「増補山林経済」に唐辛子入りのキムチやコチュジャンに記述が登場します。
キムチと呼ばれる由来
中国から伝わったキムチの先祖で漬物のことは「祖」と呼んでいました。
その後、高麗時代に「漬」のことを「ジ」と呼ぶようになりました。その呼び名がいつしか沈漬「チムジ」となり、沈菜「チムチェ」と変化していき、今の「キムチ」と呼ばれることになったと言われています。(※諸説あります)
キムチの起源や歴史に関しては諸説ありますので、一つの歴史として認識いただければと思います。